「しない生活」小池龍之介著

公開日: 更新日:

■「つながりすぎない」など煩悩を静める108の心構え

 困った場面に直面すると、人は往々にして何か「しなければ」というオブセッションに駆られてしまう。しかし、そこで何も「しない」で、ひたすら内省することが最良の学びを引き出してくれることもある。また、怒り、後悔、不安、妬みといったちょっとしたきっかけによって、心が乱れてしまうのも人間。この心の乱れ=煩悩を静め心を保っていくために必要な108(煩悩の数)の心構えを、龍照という僧名を持つ現役の住職である著者が仏典を引きながら説いていく。

「つながりすぎない」「イライラしない」「言い訳しない」「せかさない」「比べない」の全5章。たとえば、インターネットで無数の個人がつなげられている現代にあって、つながらないことは不安をかき立てるが、ネット上に蔓延する呪詛(じゅそ)や怨念から逃れるには切断も必要。

 また「私をわかってほしい」という強いメッセージを発し続けるのではなく、ときには相手の言葉に耳を傾けるのも大事。わかっていながらなかなか実践できないことに気づかせてくれる。語り口の平易さも本書の魅力。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    3年連続MVP大谷翔平は来季も打者に軸足…ドジャースが“投手大谷”を制限せざるを得ない複雑事情

  2. 2

    自民党・麻生副総裁が高市経済政策に「異論」で波紋…“財政省の守護神”が政権の時限爆弾になる恐れ

  3. 3

    立花孝志容疑者を"担ぎ出した"とやり玉に…中田敦彦、ホリエモン、太田光のスタンスと逃げ腰に批判殺到

  4. 4

    最後はホテル勤務…事故死の奥大介さん“辛酸”舐めた引退後

  5. 5

    片山さつき財務相“苦しい”言い訳再び…「把握」しながら「失念」などありえない

  1. 6

    ドジャースからWBC侍J入りは「打者・大谷翔平」のみか…山本由伸は「慎重に検討」、朗希は“余裕なし”

  2. 7

    名古屋主婦殺人事件「最大のナゾ」 26年間に5000人も聴取…なぜ愛知県警は容疑者の女を疑わなかったのか

  3. 8

    阪神異例人事「和田元監督がヘッド就任」の舞台裏…藤川監督はコーチ陣に不満を募らせていた

  4. 9

    高市内閣支持率8割に立憲民主党は打つ手なし…いま解散されたら木っ端みじん

  5. 10

    《もう一度警察に行くしかないのか》若林志穂さん怒り収まらず長渕剛に宣戦布告も識者は“時間の壁”を指摘