「ウィーン栄光・黄昏・亡命」ポール・ホフマン著、持田鋼一郎訳

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 モーツァルトやマーラーやベートーベンなどの才能あふれる音楽家や、クリムト、フロイト、さらにはヒトラーまでも引きつけた美しき都ウィーン。人々を魅了する華やかな文化を生み出したその街は、激しい歴史の変遷に翻弄された街でもあった。

 本書は、トルコ軍による包囲から、ハプスブルク帝国全盛の時代や社会民主党政権の時代を経てドイツに併合されたナチ時代、戦後の米・英・仏・ソによる占領時代、その後独立してワルトハイム大統領の時代までの約500年にわたるウィーンの街の変遷を描いた歴史書だ。歴史を追うと、ウィーンという都市の華やかな魅力と隠された危うさの両方が見えてくる。特にヒトラーを受け入れることになって以来、ウィーンのユダヤ人に降りかかった人種差別の過酷さや、ワルトハイムに代表されるナチに加担した官僚についての記述は、国家に対峙した人間の問題を指摘しており、他国のこととして片づけられない示唆を含んでいる。

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