初のエロチックハードボイルドを書いた椎名誠氏に聞く

公開日: 更新日:

 登場人物にはほぼ名前がない。頬こけ、鼻曲げ、オリーブ……特徴で記されるが、クセモノ揃いだ。

「全員壊れた小悪人なんです。小心者なのに大胆に人を殺しちゃうとかね。キャラクター作りを楽しんでいたのかもしれない。書いてて自分でもおかしかったのは、別れた女房の家をノゾいて、壁に射精する男ね。こういう異常者いるなぁってね。ただ、おれがあまり好きじゃない、痩せて細長い、性的魅力ゼロに近い女を書いてしまったから、途中から無理やりセックスアピールをつけて。ケツが丸くて刺激的とかね。そこは苦労しました(笑い)」

 独特の湿った世界観に、本能で生きる人々。情報ソースはなんとホームレスだというから驚きだ。

「おれ、ホームレスとよく間違えられるんだよね。普段ヨレヨレの服着て、日に焼けて黒いし、髪が長いとちょうどストライクゾーンなのよ、ホームレス的に(笑い)。東京駅でも成田空港でも間違われたし、広島ではガラ出し(解体後の破片を集める作業)にスカウトされて。『アンタ体は頑丈そうだね』って。弁当込みで1日7500円だって。間違えられてちょっと悔しいときもあるけど、そのときはうれしかったな」

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    学力偏差値とは別? 東京理科大が「MARCH」ではなく「早慶上智」グループに括られるワケ

  2. 2

    長嶋一茂が父・茂雄さんの訃報を真っ先に伝えた“芸能界の恩人”…ブレークを見抜いた明石家さんまの慧眼

  3. 3

    亡き長嶋茂雄さんの長男一茂は「相続放棄」発言の過去…身内トラブルと《10年以上顔を合わせていない》家族関係

  4. 4

    大谷 28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」とは?

  5. 5

    (1)長嶋茂雄氏の「逆転巨人入り」は、銚子の料亭旅館の仲居さんの一言から始まった

  1. 6

    よく聞かれる「中学野球は硬式と軟式のどちらがいい?」に僕の見解は…

  2. 7

    “バカ息子”落書き騒動から続く江角マキコのお騒がせ遍歴…今度は息子の母校と訴訟沙汰

  3. 8

    今秋ドラフトで割食う巨人…“恋人”の創価大・立石正広が「ミスターの後継者」候補と評価急上昇

  4. 9

    長嶋茂雄さんの「まさかの一言」で高級ブランドショップ店員は素っ頓狂な声をあげ目を白黒させた

  5. 10

    北川景子が味わった二度の挫折 仕事の間にロケバス内の猛勉強で明治大商学部に合格した努力家