「世界の美しい階段」エクスナレッジ編

公開日: 更新日:

 改めて見ると、それぞれの空間に合わせてデザインされた階段は、なんとも見応えがあるものだと再認識させられる。

 9世紀に建築されたインド西部の巨大な階段井戸「チャンド・バオリ」は、井戸の三方が13階層、3500段もの階段で覆い尽くされ、その景観はコンピューターゲームの中に入り込んでしまったかのような錯覚を見る者に与える。

 他にもエクアドルの巨大な滝「パイロン・デル・ディアブロ」に接するように設けられた「世界でもっとも怖い階段」、コロンビアの高さ200メートルもの巨大な岩「ピエドラ・デル・ペニョール」の隙間に縫い目のように設けられた650段の階段などの大自然に刻まれた「絶景の階段」から、グラフィックアートのようなアメリカの石油備蓄タンクの点検用階段や、花まつりに合わせて花や緑の植木鉢で絵を描いたイタリア・シチリア島の大階段、階段全体をキャンバスにして女性の絵が描かれたフランスの古いたばこ工場などの「街角の階段」まで、148もの階段が堪能できる。 

 東京の赤坂サカスにある世界最大級の大階段LEDビジョンなど最先端の階段や、ジェットコースターのレールの上を歩くような体験ができるドイツの立体アートなどユニークな階段も紹介されるのだが、蹴り込みの部分に詩句が1行ずつ書かれたイタリアのとある町の名もなき小さな階段にも心が奪われる。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    新生阿部巨人は早くも道険し…「疑問残る」コーチ人事にOBが痛烈批判

  2. 2

    阿部巨人V逸の責任を取るのは二岡ヘッドだけか…杉内投手チーフコーチの手腕にも疑問の声

  3. 3

    阪神「次の二軍監督」候補に挙がる2人の大物OB…人選の大前提は“藤川野球”にマッチすること

  4. 4

    阪神・大山を“逆シリーズ男”にしたソフトバンクの秘策…開幕前から丸裸、ようやく初安打・初打点

  5. 5

    巨人桑田二軍監督の“排除”に「原前監督が動いた説」浮上…事実上のクビは必然だった

  1. 6

    創価学会OB長井秀和氏が明かす芸能人チーム「芸術部」の正体…政界、芸能界で蠢く売れっ子たち

  2. 7

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  3. 8

    大谷翔平の来春WBC「二刀流封印」に現実味…ドジャース首脳陣が危機感募らすワールドシリーズの深刻疲労

  4. 9

    大死闘のワールドシリーズにかすむ日本シリーズ「見る気しない」の声続出…日米頂上決戦めぐる彼我の差

  5. 10

    ソフトB柳田悠岐が明かす阪神・佐藤輝明の“最大の武器”…「自分より全然上ですよ」