「秘島図鑑」清水浩史著

公開日: 更新日:

 日本に7000もある離島から、とびっきりの「秘島」を厳選した異色ビジュアル・ガイドブック。何が異色かといえば、本書を手にしてその島が気に入ったとしても、上陸はもちろん、(ほぼ)行くことさえ出来ない島ばかりなのだ。そこが秘島の秘島たるゆえんだ。その他にも「もの言いたげな佇まい(島の姿、形が個性的なもの)」「知られざる歴史を秘めている」など、著者が定めたいくつかの条件をクリアして「秘島」とされた33島を巡る。

 例えば、東京から1300キロ、小笠原(父島)から330キロ離れた「南硫黄島」は、火山島のため周囲は断崖絶壁で、その不気味な威圧感は「秘島の中でも、ピカイチ」。かつてこの島に定住した人はなく、19世紀後半に漂流者3人が3年半暮らしたという記録が残る「人跡ほぼ未踏」の地である。この漂流者の発見以来、開戦まで小笠原と硫黄島を結ぶ定期船が年1回、漂流者の有無を確かめるためだけに120キロの遠回りをして汽笛を鳴らしながらこの島を一周したという。
 
 最近では年に1回だけ南硫黄島・硫黄島・北硫黄島の近くを周遊するツアーが運航されているので、上陸こそできないが、この島には近づくことはできる。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「おまえになんか、値がつかないよ」編成本部長の捨て台詞でFA宣言を決意した

  2. 2

    【原田真二と秋元康】が10歳上の沢田研二に提供した『ノンポリシー』のこと

  3. 3

    カーリング女子フォルティウスのミラノ五輪表彰台は23歳リザーブ小林未奈の「夜活」次第

  4. 4

    3度目の日本記録更新 マラソン大迫傑は目的と手段が明確で“分かりやすい”から面白い

  5. 5

    国分太一“追放”騒動…日テレが一転して平謝りのウラを読む

  1. 6

    福山雅治&稲葉浩志の“新ラブソング”がクリスマス定番曲に殴り込み! 名曲「クリスマス・イブ」などに迫るか

  2. 7

    「えげつないことも平気で…」“悪の帝国”ドジャースの驚愕すべき強さの秘密

  3. 8

    松岡昌宏も日テレに"反撃"…すでに元TOKIO不在の『ザ!鉄腕!DASH!!』がそれでも番組を打ち切れなかった事情

  4. 9

    年末年始はウッチャンナンチャンのかつての人気番組が放送…“復活特番”はどんなタイミングで決まるの?

  5. 10

    査定担当から浴びせられた辛辣な低評価の数々…球団はオレを必要としているのかと疑念を抱くようになった