「増補新版 毒ガスの島」樋口健二著

公開日: 更新日:

 戦時中、日本軍は瀬戸内海に浮かぶ大久野島で極秘に毒ガス兵器を製造。何も知らされず島で働かされた6000人もの人々は、戦後、不治の毒ガス後遺症に苦しめられたが、国は責任を回避し、多くが補償も受けられず死んでいった。

 本書は、その大久野島の毒ガス製造工廠の実態を告発した32年前のドキュメンタリー写真集の増補新版。1970年、まだ島にたくさん残っていた毒ガス製造工廠の遺構の数々をはじめ、国民休暇村に指定され、過去を知らずに観光客が訪れていた1980年代の島の様子、元労働者たちの生々しい証言とポートレート、そして多くの遺構が風化して歴史の闇に葬られようとしている現在の姿まで。隠蔽され続けてきた国家の犯罪を暴く。(こぶし書房 2400円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    N党・立花孝志氏に迫る「自己破産」…元兵庫県議への名誉毀損容疑で逮捕送検、巨額の借金で深刻金欠

  2. 2

    高市内閣は早期解散を封印? 高支持率でも“自民離れ”が止まらない!葛飾区議選で7人落選の大打撃

  3. 3

    箱根駅伝は「勝者のノウハウ」のある我々が勝つ!出雲の7位から良い流れが作れています

  4. 4

    女子プロレス転向フワちゃんいきなり正念場か…関係者が懸念するタレント時代からの“負の行状”

  5. 5

    高市首相「午前3時出勤」は日米“大はしゃぎ”会談の自業自得…維新吉村代表「野党の質問通告遅い」はフェイク

  1. 6

    歪んだ「NHK愛」を育んだ生い立ち…天下のNHKに就職→自慢のキャリア強制終了で逆恨み

  2. 7

    我が専大松戸は来春センバツへ…「入念な準備」が結果的に“横浜撃破”に繋がった

  3. 8

    学歴詐称問題の伊東市長より“東洋大生らしい”フワちゃんの意外な一面…ちゃんと卒業、3カ国語ペラペラ

  4. 9

    村上宗隆、岡本和真、今井達也のお値段は?米スカウト&専門家が下すガチ評価

  5. 10

    自死した元兵庫県議の妻がN党・立花孝志党首を「名誉毀損」の疑いで刑事告訴…今後予想される厳しい捜査の行方