「増補新版 毒ガスの島」樋口健二著

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 戦時中、日本軍は瀬戸内海に浮かぶ大久野島で極秘に毒ガス兵器を製造。何も知らされず島で働かされた6000人もの人々は、戦後、不治の毒ガス後遺症に苦しめられたが、国は責任を回避し、多くが補償も受けられず死んでいった。

 本書は、その大久野島の毒ガス製造工廠の実態を告発した32年前のドキュメンタリー写真集の増補新版。1970年、まだ島にたくさん残っていた毒ガス製造工廠の遺構の数々をはじめ、国民休暇村に指定され、過去を知らずに観光客が訪れていた1980年代の島の様子、元労働者たちの生々しい証言とポートレート、そして多くの遺構が風化して歴史の闇に葬られようとしている現在の姿まで。隠蔽され続けてきた国家の犯罪を暴く。(こぶし書房 2400円+税)

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