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「雨の裾」古井由吉著

 高層階の窓から驟雨を眺めながら、初老の男が友人に向かって語りだす。まだ若いころ、梅雨時に母を亡くしたことを。

 母親との2人暮らしが長い息子は、病院に足しげく通い、母に付き添う。息子には付き合っている女がいた。頼んだわけでもないのに、女は毎日病院に現れて、病人の世話をするようになった。近づいてくる死と向かい合いながら、母と息子と女の間に密度のある時間が流れていく。

 表題作を含む8編を収めた短編小説集。

 金策に駆け回った長い一日の終わりに、警報機の鳴る踏切で、ただならぬものを目にした。とっさに男を後ろから羽交い締めにしていた。(「踏切り」)

 花の舞う坂道をおぼつかない足取りで上りながら、老人は、背後から列をなしてくる過去の自分を見ていた。(「春の坂道」)

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