「ルポ 過労社会」中澤誠氏

公開日: 更新日:

 2012年2月、東京新聞横浜支局で担当だった記者クラブ会見が、過労死を扱うきっかけになったという。

「ワタミの過労自殺の労災認定があり、横浜の裁判所記者クラブに行きました。そのとき、弁護士の説明で『36協定』という言葉を初めて聞いたんです。てっきり、カタカナだと思い『サブロクってなんですか?』と質問したくらい労働問題の素人でした」

 そのためか、本の内容は初心者にもわかりやすい。労働基準法32条は、労働時間を1日8時間、週40時間までとし、残業を禁じている。だが36条で経営者側と労働者側の協議で上限時間を決めれば残業可能という例外があり、36協定と呼ばれている。ワタミフードサービスも月120時間の36協定が結ばれていた。

「ワタミの創業者・渡辺美樹さんはカリスマ経営者として有名な人物で、そのグループ会社で入社2カ月の女性社員が働かされ過ぎで自殺したわけです。世の中であがめられていた会社でなぜこんなことが? と最初ギャップを感じましたね」

 取材を進めると、ワタミだけでなく、日本の職場はラフプレーだらけのサッカーのようだった。36協定を上回る残業、パワハラ……審判の笛が鳴ってもおかまいなしのルール違反が横行している。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • BOOKSのアクセスランキング

  1. 1

    日本の課題がわかる「リチウム戦争」アーネスト・シェイダー著/ニューズピックス(選者:佐藤優)

  2. 2

    天皇と戦争の世紀(1)岸信介外相の入閣に異を唱えた昭和天皇

  3. 3

    天皇と戦争の世紀(2)軍部の「大権干犯に当たらず」の説明に苛立ち

  4. 4

    皿書店(豪徳寺)「開高健も書いているし、食の本の店にしよう。そんな感じで」1年前にオープン

  5. 5

    「埋もれてきたもうひとつの抑留の真実と、日本政府の冷淡を知ってもらいたい」──「モンゴル抑留 見捨てられた死者たち」井手裕彦氏

  1. 6

    天皇と戦争の世紀(3)無条件降伏の後、日本側が天皇制をどう死守したのか

  2. 7

    「いのち、見つめて」夏川草介、渡辺淳一ほか著|看取りの真意を問いかける傑作医療小説集

  3. 8

    まだまだ暑い!酷暑を意識から追い出すミステリー本特集(2)「能面検事の挫折」中山七里著

  4. 9

    よみがえった写真が伝える戦前戦時下の“時代の空気”「AIとカラーでよみがえる戦争の昭和史」別冊宝島編集部編

  5. 10

    まだまだ暑い!酷暑を意識から追い出すミステリー本特集(3)「『石球城』殺人事件」北山猛邦著

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    北島三郎(3)「北島ファミリー」の長女・原田悠里が語る御大

  2. 2

    「マクドは健康保険と年金に加入できてよかった」 シニアが働き続けるために必要なこととは?

  3. 3

    徳川光圀(1)水戸黄門は全国漫遊などしていない 主に出かけたのは江戸と領地の往復

  4. 4

    東京・蒲田の2駅結ぶ蒲蒲線、大田区と地元を取材して分かった実現のハードルと地元の思い

  5. 5

    東京・大井町、OIMACHI TRACKSと対照的な東小路飲食店街、商店街理事長が直面する2つの問題

  1. 6

    NHK夏の音楽特番「うたであえたら」は北川景子のMCが見事 カオスと化した近年の紅白はお手本に

  2. 7

    「山口組」抗争指定解除へ、それでも対立は続く…6代目幹部「喜ぶのは早い」

  3. 8

    バナナマン日村が簡単に復帰できそうにない「もう1つの理由」…レギュラー11本抱える人気者のジレンマ

  4. 9

    止まらない高市首相SNS発信に官邸総動員の実態…この週末は3日間で11連投も「ゴキブリ」投稿で大炎上

  5. 10

    清水アキラさんが三男急死の直前に語っていた“せがれ”のこと 良太郎さんに口説かれものまねショー復帰