「自由に老いる」海老坂武氏

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 ベストセラー「シングル・ライフ」から30年。副題は「おひとりさまのあした」。独身者という言葉に代わって「シングル」は名実共にすっかり市民権を得た。だが、老いるにつれて不安や心配はないだろうか。

「ふたりで老いていく人のほうが、ぼくは悲惨じゃないかという気がするんですよ。相手が亡くなっていく姿を見ていると、お互いにつらいのではないか。大体は亭主が奥さんに介護してもらって先に死んで、妻は子どもに……となりますが、その順番でいくとも限らないしね。新聞記事を見ても、介護疲れなのか、妻を殺す事件もありますよね。ひとりの場合は、自分のことをどうにかすればいいんです。ぼくは、戦後の雑然とした世の中に育ってきましたからね、なるようになれ、ということが根本にあるのかもしれません」

 大学を定年退職後、沖縄やパリ、芦屋を移り住む止まり木生活をし、イタリア語の勉強、テニス野球を満喫していた。ところが70歳で難聴になり、いや応なく老いと向き合うことに。偏屈、せっかち、怒りっぽい、無感動、昔話をするなど、老人の特徴が自分に当てはまるか自己分析していく筆致はユーモラスで知的。認知症や介護の暗い話題は出てこない。

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