「悪の力」姜尚中著

公開日: 更新日:

 60代半ばにして「悪が人の中に巣くい、病原菌のように人の心を蝕んでいく悪の連鎖」を目の当たりにした著者が、悪とは何か、悪とどう向き合えばよいのかを考察した思索の書。

 川崎市中1男子生徒殺害事件や名古屋大女子学生による殺人事件、患者18人が死亡した群馬大病院事件など、世間を震撼させた事件から、聖書や文学作品などに描かれた悪など、さまざまな視点から悪の正体に迫る。一方で、なぜ人間は悪を魅惑的なものとして描くのかと問いを重ね、ネガティブな感情の裏には、芽生えた憎悪のエネルギーを他の人にも共感・理解してもらいたい、人や社会とつながりたいという切なる願いが潜んでいることを明らかにしていく。(集英社 700円+税)



最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    安青錦は大関昇進も“課題”クリアできず…「手で受けるだけ」の立ち合いに厳しい指摘

  2. 2

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  3. 3

    マエケン楽天入り最有力…“本命”だった巨人はフラれて万々歳? OB投手も「獲得失敗がプラスになる」

  4. 4

    中日FA柳に続きマエケンにも逃げられ…苦境の巨人にまさかの菅野智之“出戻り復帰”が浮上

  5. 5

    今田美桜に襲い掛かった「3億円トラブル」報道で“CM女王”消滅…女優業へのダメージも避けられず

  1. 6

    高市政権の“軍拡シナリオ”に綻び…トランプ大統領との電話会談で露呈した「米国の本音」

  2. 7

    エジプト考古学者・吉村作治さんは5年間の車椅子生活を経て…80歳の現在も情熱を失わず

  3. 8

    日中対立激化招いた高市外交に漂う“食傷ムード”…海外の有力メディアから懸念や皮肉が続々と

  4. 9

    安青錦の大関昇進めぐり「賛成」「反対」真っ二つ…苦手の横綱・大の里に善戦したと思いきや

  5. 10

    石破前首相も参戦で「おこめ券」批判拡大…届くのは春以降、米価下落ならありがたみゼロ