香山リカ
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香山リカ精神科医・立教大学現代心理学部映像身体学科教授

1960年、北海道生まれ。東京医科大卒。NHKラジオ「香山リカのココロの美容液」パーソナリティー。著書に「執着 生きづらさの正体」ほか多数。

「最後に正義は勝つ」と喜べないむなしさ

公開日:  更新日:

「新国立競技場 問題の真実」森本智之著

 新国立競技場の新しい建設計画が発表されてから、森喜朗氏があからさまにB案に肩入れしたなど相変わらず周辺はかまびすしいが、一般の人たちはもうすっかりシラけているのではないだろうか。総工費は約1500億円だそうだが、「前のプランより1000億お得」とか言われてもピンとこない。だいたい本当に旧国立競技場を解体する必要があったのだろうか。

 そのあたりのいきさつを東京新聞の記者が、今は風前の灯になりつつある“ジャーナリスト魂”で取材した渾身の一作が本書。全体の3分の2は、なぜ財政的にも現実的にも建設不可能なザハ・ハディド氏の案が採択されたのか、なぜ予算が膨大な額になったのか、なぜ異議を唱える市民団体や建築家の声が届かなかったのか、といったプロセスが細かく記されている。主な舞台は日本スポーツ振興センターだが、そこに無数の組織や個人の利権、思惑が絡んでおり、その身勝手さに正直言って読んでいるだけでイライラしてくる。

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