時空を超えた本をめぐる物語「水 本の小説」 北村薫著
「水 本の小説」 北村薫著
鈴の音が揺らす手により鳴り方が違うように「本の言葉もそのように、読み手の心に伝わっていくものです」とつづる著者による本を巡る物語。
向田邦子のエッセー「キャベツ猫」に書かれた「品川巻きの海苔」を好む猫の話題からはじまり、村上春樹の本の中に同じ嗜好を持つ猫を飼っていたことを記した文章を見つけた話に発展。さらに落語の話題から中国文学研究の第一人者の吉川幸次郎の文章の中で心に残った一場面を紹介。それは吉川が京都の南座で歌舞伎を見た時のことを記したもので、やがて話題はその時の演目「極附幡隨長兵衛」へと続く。
ほかにも感染症をテーマにした女性作家P・D・ジェイムズの作品から橋本治、そして小林信彦へと、「本が本を呼び、作品と作品がこだましあうように」ジャンルを超え、時空を超えて本と言葉について語りつくす。 (新潮社 781円)


















