【成長企業】成長する企業とは?誰もが知りたい真実に迫る

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「三井越後屋のビジネス・モデル」武居奈緒子著

 経営学者ドラッカーが「世界最古のマーケティング」として高く評価する越後屋。延宝元年に三井高利が創業した現在の三井グループの元祖だ。この越後屋の経営を「マネジメント史観」から分析する。

 越後屋は「正札現金掛け値なし」、つまりどの顧客にも掛け値なしの定価商売でいくという呉服商としては破格の商法でイノベーションを起こした。時は将軍・家綱の時代。中流庶民層の拡大で社会の消費意欲が高まっていた。それだけに掛け値を含まぬ低価格商法は顧客に安心感を与え江戸で大成功を収めたのだ。

 本書は江戸の故事を現代的視点で分析、ブランドマネジメントなどの販売商法から明治維新後の三井の支店長会議の実態までを細かく見ていく。三井は信頼できる顧客層との長期継続的な取引を志向するマネジメント企業だった。その点で短期的な利益を追求する戦略的マーケティング企業とは違っていたという。著者は関西の大学の経営学部教授。マネジメントの勉強と歴史雑学の2つを手にできる一挙両得の好著だ。(幻冬舎 1300円+税)




「『世界一速い会社』の秘密」竹田正俊著

 メーカーから依頼を受けて試作品を作る。そんな仕事を専門とする京都の小企業。それが本書のいう「世界一速い」試作品を提供する会社。本書はその社長によるスピードビジネスの極意書だ。第1の秘訣は「たたき台」を早く作る。問題点や改善点を熟考し、とにかく早い納期を図ることだ。第2は早い決断、走りながら考えること。第3は予備日をつくらず、背水の陣を敷く。最後に仕事が早いと公言し、退路を断つこと。個人企業や小企業の経営者に特に役立ちそうだ。(ダイヤモンド社 1400円+税)




「『廃業寸前』が世界トップ企業になった奇跡の物語」 駒井俊雄著

 マホービン市場の世界シェア1位を誇る「サーモス」。日本では長く3位に甘んじていたが、ランチェスター戦略を学んで業務改善したことで短期間にシェア1位へ。この劇的成功体験を小説化したのが本書。著者はサーモスの営業担当の一員として急速な成功を実地で経験し、その後独立して経営コンサルタントになった。つまり本書は「もしドラ」の当事者版というわけだが、実体験だけに豊富な事例と細部が特徴。業界で下位にある企業がちょっとしたきっかけで上昇機運に転じるときの営業現場の雰囲気などがよく伝わってくる。(ぱる出版 1400円+税)




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