「漢方薬」の名前には製法のヒントが隠されている
漢方薬の名前には末尾に「湯」「散」「丸」といった文字が付いていることにお気づきでしょうか? じつはこれ、「薬のつくり方」に由来しています。つまり、漢方薬の名前には製法のヒントが隠されているのです。
まずは「湯」。これは読んで字のごとく、お湯に煎じて飲むタイプの薬です。昔は薬草を土鍋でじっくりと煮出し、その湯液を服用していました。現代ではエキス顆粒として販売されていることが多いのですが、「葛根湯」「小青竜湯」など末尾が湯の薬は、お湯に溶かして服用することで、生薬の香りや成分が立ち上がり、より効果的に作用すると考えられています。可能であれば、お湯で溶かしてゆっくり飲むことをおすすめします。
次に「散」。これは、生薬を粉末状にして服用するタイプです。今のような煎じ器がなかった時代、薬草を細かく砕いて飲んでいたのです。代表的なものに「当帰芍薬散」「加味逍遥散」などがあります。粉薬のようにサッと飲める手軽さが特徴で、エキス顆粒にしても比較的飲みやすいものが多く見られます。
そして「丸」。粉末状の生薬に蜂蜜などを加えて練り、丸めたものがルーツです。「桂枝茯苓丸」「八味地黄丸」などがその代表です。かつての丸薬は固形のため、ゆっくりと溶けて持続的に作用するとされていました。また、丸薬は携帯しやすく、当時の飲み忘れ防止策でもあったといいます。


















