「日本人はどこから来たのか?」海部陽介氏

公開日: 更新日:

明石原人が日本人のルーツといわれたのは大昔。今や教科書にも載っていません

 日本人の祖先は明石原人である――。学生時代に、授業でそう教わった諸兄は多いのではないだろうか。しかし――。

「違います。かつて日本人のルーツなどといわれた明石原人は、その後の調査で歴史時代の人の骨と見誤ったことがわかり、とっくの昔に教科書からは消えています。現在でも日本では原人や旧人の化石がひとつも見つかっていませんし、そもそも遺伝子的にも原人と我々ホモサピエンスとは異なっています。では、日本人はどこから、どのようにしてきたのか。それが本書のテーマです」

 私たちの祖先であるホモサピエンスは、アフリカの旧人から進化し、世界中に広がったことが分かっているが、その移動については謎が多い。

 欧米の学会では、10万年前にアフリカを出たホモサピエンスはアジアの南側の海岸線沿いを移動し、オーストラリア大陸へ至ったという「海岸移住説」を支持している。ところが、沿岸の移住を裏付ける古い遺跡は見つかっていない。

■ヒマラヤを超えてきた日本人の祖先

 このことに疑問を抱いた著者は考古学、DNA研究、世界各地の信用に足る遺跡の証拠など過去10年間の研究を一枚の地図に落とし込み、グローバルな視座から再検討した。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    侍ジャパンに日韓戦への出場辞退相次ぐワケ…「今後さらに増える」の見立てまで

  2. 2

    大谷翔平は米国人から嫌われている?メディアに続き選手間投票でもMVP落選の謎解き

  3. 3

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  4. 4

    “新コメ大臣”鈴木憲和農相が早くも大炎上! 37万トン減産決定で生産者と消費者の分断加速

  5. 5

    侍J井端監督が仕掛ける巨人・岡本和真への「恩の取り立て」…メジャー組でも“代表選出”の深謀遠慮

  1. 6

    巨人が助っ人左腕ケイ争奪戦に殴り込み…メジャー含む“四つ巴”のマネーゲーム勃発へ

  2. 7

    藤川阪神で加速する恐怖政治…2コーチの退団、異動は“ケンカ別れ”だった

  3. 8

    支持率8割超でも選挙に勝てない「高市バブル」の落とし穴…保守王国の首長選で大差ボロ負けの異常事態

  4. 9

    大谷翔平の来春WBC「二刀流封印」に現実味…ドジャース首脳陣が危機感募らすワールドシリーズの深刻疲労

  5. 10

    和田アキ子が明かした「57年間給料制」の内訳と若手タレントたちが仰天した“特別待遇”列伝