「幹事のアッコちゃん」柚木麻子著

公開日: 更新日:

忘年会プロデュースで仕事の面白さに開眼

 営業第2課の新人、久瀬涼平は憂鬱でたまらない。課の名物行事である忘年会幹事は新人の仕事。でも、店も余興も決まらない。ああ面倒くさい。第一、会社の人間となんか、飲みたくもない。

 こだわりが強く、自意識過剰、生意気で妙に冷めている。そんな今どきの若者・涼平の前に、おかっぱ頭の大女が現れた。チェーン展開で成功した飲食業「東京ポトフ&スムージー」の社長・黒川敦子、人呼んでアッコちゃん。翌日から、アッコちゃんが幹事を務める忘年会に参加させてもらいながら、涼平は忘年会プロデュースの極意を学び、成長していく。

「読むと元気が出る」と働く女性たちに人気の小説シリーズ第3弾。表題作のほか、3作が収められている。成功者アッコちゃんをねたむ中年女性記者と関わることになる「アンチ・アッコちゃん」。仕事に追われる元部下に、時間の使い方を伝授する「ケイコのアッコちゃん」。そして、会社のM&A話に将来が揺れる「祭りとアッコちゃん」。

 ド迫力があってカッコいいサクセスウーマンの顔と、自分に正直でカッコつけない素顔。アッコちゃんは人を引き寄せ、人を勇気づける。幾多の自己啓発本より、はるかに心に効く一冊。(双葉社 1200円+税)


最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希に向けられる“疑いの目”…逃げ癖ついたロッテ時代はチーム内で信頼されず

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    備蓄米報道でも連日登場…スーパー「アキダイ」はなぜテレビ局から重宝される?

  4. 4

    上白石萌音・萌歌姉妹が鹿児島から上京して高校受験した実践学園の偏差値 大学はそれぞれ別へ

  5. 5

    “名門小学校”から渋幕に進んだ秀才・田中圭が東大受験をしなかったワケ 教育熱心な母の影響

  1. 6

    大阪万博“唯一の目玉”水上ショーもはや再開不能…レジオネラ菌が指針値の20倍から約50倍に!

  2. 7

    今秋ドラフト候補が女子中学生への性犯罪容疑で逮捕…プロ、アマ球界への小さくない波紋

  3. 8

    星野源「ガッキーとの夜の幸せタイム」告白で注目される“デマ騒動”&体調不良説との「因果関係」

  4. 9

    女子学院から東大文Ⅲに進んだ膳場貴子が“進振り”で医学部を目指したナゾ

  5. 10

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも