著者のコラム一覧
坂崎重盛編集者、エッセイスト

1942年、東京都生まれ。編集者、エッセイスト。千葉大学造園学科で造園学と風景計画を専攻。著書に、「東京煮込み横丁評判記」「『絵のある』岩波文庫への招待」「粋人粋筆探訪」など多数。BSジャパンの「酒とつまみと男と女」に出演し、不良隠居として人気に。

「トウガラシの世界史」山本紀夫著

公開日: 更新日:

“香辛料キング”発見から品種改良の歴史まで

 居酒屋巡りが大好きな人間なので、卓上のトウガラシには当然、お世話になっている。焼き鳥はもちろん、モツの煮込みにもタップリかける。

 エイヒレはマヨネーズとトウガラシ、それにちょっぴり醤油を垂らせば、がぜん味が引き立つ。

 そんな身近な伝統的スパイス――このトウガラシというものの来歴や文化など考えてみたこともなかった。七味や一味、あるいは赤いタカノツメなど、あまりにも見慣れた食味であるために、その本性など気にも留めなかった。

 著者は植物学を専攻、アンデス栽培植物調査隊の一員として、ペルー、ボリビアなどを踏査しているときに、野生種のトウガラシと出合う。

 さらに専攻を民族学に転向、世界のトウガラシへの文化人類学的関心は一層深まることとなる。

 植物学から民族学へ。これほどトウガラシ文化探究に適した経歴はないだろう。実際、著者は原産地の中南米はもとより、ヨーロッパ、アフリカ、東南アジア、そして中国韓国とトウガラシのある世界の地域や都市を巡り歩く。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人がソフトB自由契約・有原航平に「3年20億円規模」の破格条件を準備 満を持しての交渉乗り出しへ

  2. 2

    【時の過ぎゆくままに】がレコ大歌唱賞に選ばれなかった沢田研二の心境

  3. 3

    NHK朝ドラ「ばけばけ」が途中から人気上昇のナゾ 暗く重く地味なストーリーなのに…

  4. 4

    国分太一との協議内容を“週刊誌にリーク”と言及…日本テレビ社長会見の波紋と、噴出した疑問の声

  5. 5

    衆院定数削減「1割」で自維合意のデタラメ…支持率“独り負け”で焦る維新は政局ごっこに躍起

  1. 6

    西武にとってエース今井達也の放出は「厄介払い」の側面も…損得勘定的にも今オフが“売り時”だった

  2. 7

    「おこめ券」でJAはボロ儲け? 国民から「いらない!」とブーイングでも鈴木農相が執着するワケ

  3. 8

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  4. 9

    立花孝志容疑者を追送検した兵庫県警の本気度 被害者ドンマッツ氏が振り返る「私人逮捕」の一部始終

  5. 10

    京浜急行電鉄×京成電鉄 空港と都心を結ぶ鉄道会社を比較