• facebook  
  • twitter  
  • Facebook Messenger
北上次郎
著者のコラム一覧
北上次郎評論家

1946年、東京都生まれ。明治大学文学部卒。本名は目黒考二。76年、椎名誠を編集長に「本の雑誌」を創刊。ペンネームの北上次郎名で「冒険小説論―近代ヒーロー像100年の変遷」など著作多数。本紙でも「北上次郎のこれが面白極上本だ!」を好評連載中。趣味は競馬。

「うつけ者の値打ち」辻堂魁著

 風の市兵衛シリーズの第17作である。シリーズの途中から読むのは無理、と言わずにぜひとも読まれたい。続いているわけではないので、どこから読んでも大丈夫。これが面白ければ遡ればいい。

 主人公の唐木市兵衛は渡り用人である。旗本や小大名の事務会計などの面倒を見る期限付きの財政コンサルタントで、そういう算盤侍になったいきさつは長くなるので省略。とにかくその設定のために、さまざまな問題(財政危機の裏側には問題が隠されていることが多い)を主人公があぶりだすドラマが自然に生まれてくる。

 岡場所をめぐる争いを仲裁してほしいという今回の依頼のように、本来の仕事を離れることも少なくなく、最近では市兵衛、もめ事の相談侍である。

 公儀十人目付の兄片岡信正、その配下の弥陀之介、定町廻り同心の渋井鬼三次など、脇をかためる人物もみな個性的で、これも長く続くシリーズものの特色だろう。しかも読んでいて飽きないのは立派。

 書き下ろしの時代小説文庫は数多く、いったい何を読んでいいものやら門外漢にはわからないことが多いけれど、この辻堂魁の風の市兵衛シリーズは信頼していい。17巻の本書の帯には「シリーズ累計110万部突破」とあるので、読者の人気を集めているものと思われるが、読んでいただければ、それも納得するだろう。ぜひおすすめだ。(祥伝社 640円+税)

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

最新のBOOKS記事

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    キムタクは“御一行”で…被災地を単身訪れた斎藤工との差

  2. 2

    逸材ゴロゴロ 夏の甲子園“契約金1億円”ドラ1候補7人の名前

  3. 3

    衝撃の発毛剤CM 草彅剛の“捨て身っぷり”が称賛されるワケ

  4. 4

    被災地で黙々とボランティア活動 吉川晃司の“気骨と矜持”

  5. 5

    石破氏の「公平な行政」パクリ…安倍首相の姑息な争点潰し

  6. 6

    フジは稲垣をドラマ起用 立ち位置に違いが出始めた元SMAP

  7. 7

    進学説の真偽は…金足農・吉田輝星めぐるプロ争奪戦の内幕

  8. 8

    元SMAP3人は自由を謳歌 シャッフルして新たな仕事が急増中

  9. 9

    高まる認可白紙の可能性 小池知事が来月迎える「敗戦の日」

  10. 10

    大物2世タレントの彼は20歳上の私に「部屋に行きたい」と

もっと見る