「彼女に関する十二章」中島京子著

公開日: 更新日:

 50歳をすぎた聖子は、雑文書きの夫が女性論執筆の参考資料として探しだした伊藤整の「女性に関する十二章」を手に取った。「人生の初めに男性に現れる愛情は表現されないで終わるのが常だ」という一文が目に留まった。その日、久世譲という人物から手紙が届いた。それは聖子が小学4年生の夏に、母が預かった友人のカメラマンの息子で、中学生だった久世佑太の死を知らせる手紙だった。聖子は佑太が自分の〈人生の初めに現れた〉初恋の相手だったことを思い出す。

 60年前に書かれた本が現実とリンクしてそれを読んだ女性の人生を変えていく、ロマンチックな長編小説。(中央公論新社 1500円+税)





【連載】今日の新刊

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    横浜とのFA交渉で引っ掛かった森祇晶監督の冷淡 落合博満さんは非通知着信で「探り」を入れてきた

  2. 2

    複雑なコードとリズムを世に広めた編曲 松任谷正隆の偉業

  3. 3

    中学受験で慶応普通部に進んだ石坂浩二も圧倒された「幼稚舎」組の生意気さ 大学時代に石井ふく子の目にとまる

  4. 4

    ドジャース内野手ベッツのWBC不参加は大谷翔平、佐々木朗希、山本由伸のレギュラーシーズンに追い風

  5. 5

    「年賀状じまい」宣言は失礼になる? SNS《正月早々、気分が悪い》の心理と伝え方の正解

  1. 6

    国宝級イケメンの松村北斗は転校した堀越高校から亜細亜大に進学 仕事と学業の両立をしっかり

  2. 7

    放送100年特集ドラマ「火星の女王」(NHK)はNetflixの向こうを貼るとんでもないSFドラマ

  3. 8

    維新のちょろまかし「国保逃れ」疑惑が早くも炎上急拡大! 地方議会でも糾弾や追及の動き

  4. 9

    出家否定も 新木優子「幸福の科学」カミングアウトの波紋

  5. 10

    【京都府立鴨沂高校】という沢田研二の出身校の歩き方