「音楽に自然を聴く」小沼純一著

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 テクノロジーの進歩のおかげで、多くの人が「音楽」と呼ぶ再生される音を日常生活のなかで聴くようになった。一度きりの音楽が特定の場で奏でられていた時代と違い、スタジオで何度も演奏された音から良く出来たテークだけを切り張りすることや、別々に録音した音を重ねてひとつの音楽にして好きな場に持ち運んで聴けることが普通になり、日々サイボーグのような音に囲まれている。

 本書は、そんな昨今の音楽を巡る状況を取り払い、人の呼吸やノイズ、虫や鳥の音、川や海や雨が奏でる音、楽器という文化まで取り込みつつ、音楽の根源を探る一冊だ。

 グランドピアノについての描写がある小説「羊と鋼の森」(宮下奈都著 文藝春秋)の一節から始まる本書は、日本の音楽として長唄の藤娘、アルベール・ルーセルのバレエ音楽、フランスの作曲家メシアンによる自然と音楽の考察などにも言及。詩的な文章で幅広い視点から豊かなインスピレーションを与えてくれる。(平凡社 800円+税)


【連載】週末に読みたいこの1冊

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