「猿の見る夢」桐野夏生著

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 主人公は、女性衣料の製造小売業の財務担当取締役を務める薄井正明・59歳。大手銀行からの出向で、13年前に今の職場にやってきた。

 当初、都落ちかと腐る思いもなくはなかったものの、会社は今や2000億円超の売り上げを誇る大手ファストファッションチェーンに成長。10年来の愛人・田村美優樹と仲良く付き合いつつ、会長秘書の朝川真奈も気になる昨今だが、目下の望みは65歳まで無事に勤め上げ、都内に息子夫婦との2世帯住宅を建てることだ。

 そんな順風満帆な薄井のもとに、社長のセクハラに対する相談が持ち込まれる。社内で生き残るには、どうするべきなのか。難問に頭をひねりながら家の玄関を開けると、そこに謎の女占い師が待っていた……。

「OUT」「柔らかな頬」「東京島」など大ヒットを飛ばし続ける人気作家の最新作。約束された地位、名誉、金、女など、世俗的な欲望に振り回され、右往左往する男の悲喜劇を、辛辣なまでに徹底的に描いている。(講談社 1700円+税)


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