「地上の星」村木嵐著
天草下島を治めていた天草鎮尚は、切支丹になったために弟たちに城を追われ、敵対する志岐麟泉に援軍を頼んだ。
城は要らないが領地に天主教を根付かせたいという鎮尚の言葉は、麟泉を驚かせる。鎮尚には近隣の武将が狙っている美しい娘、お京がいるが、彼女が幼いころ会ったザビエルは、空の星に導かれて長い航海をしてきたことを語り、「人は地上に降りた星であり、その人を見てしるべとする」と言った。
やがて肥後の赤井城主、木山弾正の妻となったお京は、司祭のアルメから、日葡(にっぽ)辞書の原稿を守る夫婦を庇護(ひご)してほしいと頼まれる。
戦国末期に信仰を守った人々を描く歴史小説。(文藝春秋 1600円+税)