おじさんに寄り添ってるギャクマンガ│「令和のおもちゃウーピン」大石浩二著
「令和のおもちゃウーピン」大石浩二著
ふと子どもの頃を思い出すと毎週少年マンガ雑誌を読み、ギャグマンガで爆笑していた。芸人になるぐらい、笑いに救われていた子どもだった。そして今、私はおじさんである。おじさんが主人公のマンガに共感するのだが、そういう作品はなんだかシリアスなものが多い。もっと笑えるものはないかと思ったときに出合えたのが本著だ。ちなみに著者の大石さんは週刊少年ジャンプの連載経験があり、この作品が掲載されてるのはマンガSPA!。実力ある作家がおじさんにしっかり向けて描いてくれている。ありがたい。
このマンガの主人公は40代の会社員、加藤浩之。中間管理職のおじさんだ。
「バグだらけなのにアップデートの予定もないこの体。もはや体力も気力も行動力も情熱もない。『諦める』が最適解なのだ」と落ち込む加藤が持っていたたばこの煙の中から、むせながら現れたのがウーピン。彼はかつて遊ばれていたおもちゃの楽園からやってきた妖精のような存在。そんなウーピンがおじさんを助ける魔法のレトロ玩具「おじ具」を使って加藤を幸せにしようとするのだが、なんだかいつもおかしなことになり……といった話だ。
数十年前のマンガのネタやファミコンなど、昭和、平成世代ストライクなボケが笑えるのはもちろん、懐古厨ということではなく、令和の今はやってるものに対してのおじさんの戸惑いとそこに対する自分のスタンスを模索する努力も描かれているのが読んでいるこちらも勇気がもらえる。40代の中年童貞のキャラも出てくるのだが、ここら辺も現代社会の悩める問題を取り上げていて興味深い。
ウーピンは疲れたおじさんにしか見えない存在。加藤と同じ会社の秋山。年齢は1つ上だが清潔感があり、若者にも好かれてる、そんな彼にはウーピンは当然見えない。ところが加藤の同僚でハゲちらかし、デリカシー皆無のおじさんの石井もウーピンは見えない。なぜならほとんどのことを気にしてないからである。このシーンも人間にとっての幸せとは? と問いかけられていてとてもいい。
おそらく私を含め紙で日刊ゲンダイを読んでいる人間の半数以上はおじさんだと思う。ゲンダイくらいおじさんに寄り添ってるギャグマンガなのでおすすめだ。
(扶桑社 990円)



















