「古来種野菜を食べてください。」高橋一也氏

公開日: 更新日:

 古来種野菜――そう言われても、ピンとこない人が多いのではないか。現在、流通している野菜の多くは「F1種」と呼ばれる品種改良された一代交配種。流通しやすいよう、大きさ、味、収穫量が均一化され、タネが取れないものが多い。これに対し、人工的な改良が一切されていないものを「固定種」「在来種」などと呼ぶ。

「他にも『伝統種』『地方種』『原種』などさまざまな呼び方があり、どの野菜がどう呼ばれるのかはタネ屋さんで違うし、農水省も定義していません。だから、それら昔からタネが続いている野菜すべてをひっくるめて、『古来種』という言葉を作ったんです。花が咲いて、サヤができて、タネが作られる。そのタネをまたまいて芽が出る。一年中あるわけではなく、季節にしか収穫できない……それが古来種野菜です」

 著者が古来種野菜と出合ったのは、自然食品会社勤務時代。バイヤーとして全国を飛び回っていたとき、出合ったのが、800年の歴史を持つ平家大根だ。

「形はふぞろいですが、見るからに野生的でエネルギーの塊。これを見た時、『あれ? じゃあ自分の扱っている野菜って何だろう?』と思わされました。農家の方は『収穫も大変だし、規格も合わない。でも、昔から続いている大事なものだから作っているんだ』と話していた。一代限りのF1種にはない歴史や伝統、作り手の哲学が詰まっている。それを絶やしてはいけないと思ったんです」

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    やはり進次郎氏は「防衛相」不適格…レーダー照射めぐる中国との反論合戦に「プロ意識欠如」と識者バッサリ

  2. 2

    長嶋茂雄引退の丸1年後、「日本一有名な10文字」が湘南で誕生した

  3. 3

    契約最終年の阿部巨人に大重圧…至上命令のV奪回は「ミスターのために」、松井秀喜監督誕生が既成事実化

  4. 4

    これぞ維新クオリティー!「定数削減法案」絶望的で党は“錯乱状態”…チンピラ度も増し増し

  5. 5

    ドジャースが村上宗隆獲得へ前のめりか? 大谷翔平が「日本人選手が増えるかも」と意味深発言

  1. 6

    「日中戦争」5割弱が賛成 共同通信世論調査に心底、仰天…タガが外れた国の命運

  2. 7

    レーダー照射問題で中国メディアが公開した音声データ「事前に海自に訓練通知」に広がる波紋

  3. 8

    岡山天音「ひらやすみ」ロス続出!もう1人の人気者《樹木希林さん最後の愛弟子》も大ブレーク

  4. 9

    松岡昌宏も日テレに"反撃"…すでに元TOKIO不在の『ザ!鉄腕!DASH!!』がそれでも番組を打ち切れなかった事情

  5. 10

    巨人が現役ドラフトで獲得「剛腕左腕」松浦慶斗の強みと弱み…他球団編成担当は「魔改造次第」