「三鬼 三島屋変調百物語四之続」宮部みゆき著

公開日: 更新日:

 物語の舞台は、江戸は神田の一角にある袋物屋。主人の伊兵衛とおかみのお民の夫婦が営む名店だが、店の客間「黒白の間」では、一度に一人の語り手を招き入れ、伊兵衛の姪のおちかという娘が1対1でただ話を聞くという趣向が行われていた。粋人たちの間で話題となり、誰かに吐き出してしまいたい不思議な話や恐ろしい話を持った客人が次々とやってくる。聞き手はこの場でただ聞いて聞き捨て、語り手は語って語り捨てるという簡単な決まりのもとに、墓場までひとりでは抱えきれない物語を持った人々が黒白の間を訪れる。本書は、そんな黒白の間での話をつづった三島屋シリーズの最新刊だ。

 収録されているのは、13歳の女の子が村祭り中止の顛末を語る「迷いの旅籠」、弁当屋がある峠で経験した奇異な出来事「食客ひだる神」、ある復讐を果たした武士が処罰として送られることになった村で出会った鬼の話「三鬼」、娘時代の心のまま年老いた老婆の物語「おくらさま」の4話。密かに語られる物語の中に見えてくる人間という生き物の業が、なんとも切なく、愛おしく思えてくる。(日本経済新聞出版社 1800円+税)

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

最新のBOOKS記事

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    GACKT告白 浜田だけじゃない芸能界パワハラ&セクハラの闇

  2. 2

    自民・田畑毅氏離党か…永田町で飛び交う“女性醜聞”の中身

  3. 3

    また怪統計か 2018年「貯蓄ゼロ世帯」大幅改善のカラクリ

  4. 4

    トランプに平和賞?推薦した安倍首相に問われる“見識”<上>

  5. 5

    ローン嫌いは意外に多い 現金主義のメリットと得するコツ

  6. 6

    銀行口座は3つを使い分け 7年で1000万円貯めた主婦の凄腕

  7. 7

    日産の“暴君”と対決した元広報マンはゴーン事件をどう見る

  8. 8

    常盤貴子「グッドワイフ」も評判 “ネオ美熟女”はなぜ人気

  9. 9

    菅田将暉「3年A組」好調の深い意味…日テレの新看板枠に

  10. 10

    日テレが大博打 原田知世&田中圭で“2クール連続ドラマ”

もっと見る