「猿蟹 saru・kani」鯨統一郎著
老人福祉施設で働くみちるは、利用者の蟹江静子が老後のために貯金していた1000万円をだまし取られたと知り放っておけない。詐欺グループは、老人ホームの入居金と偽って金をだまし取っていた。74歳で一人暮らしの静子は、爪に火をともすようにして貯めた虎の子を奪われ生きる気力を失ってしまう。
老人を食い物にする詐欺グループが許せないみちるは、静子の金を奪い返すために仕事を辞めて動きだす。みちるも、実はかつて悪事を働き金儲けするやからを専門にだます詐欺師だったのだ。みちるは、今はラーメン屋で働く玉田や、ホームレスに転落していた変装の名人・臼井など、昔の仲間を探し出し、協力を求める。
だましだまされのコンゲーム小説。(小学館 690円+税)