「カリスマフード」畑中三応子著
肉と牛乳と米は日本人のカリスマフードである。牛肉は明治政府の富国強兵政策によって導入され、軍隊がいち早く牛肉食を取り入れた。
明治33年の日本人1人当たりの年間畜肉消費量はわずか912グラムなのに、日清、日露戦争当時、将校には牛肉が1日1人当たり300グラムも支給されていた。軍隊で重用されたのは、コンビーフや水煮などより米飯のおかずになる大和煮の缶詰で、缶詰になったときだけ「大和煮」という勇ましい名前が付く。これが初めて肉に和風の味付けをした記念すべき国産缶詰第1号である。
身近なカリスマフードを通して日本の近現代史を見るというユニークな一冊。(春秋社 1900円+税)