「アラブの春」では説明できないシリアの混迷

公開日:

「シリア情勢」青山弘之著

 トランプ政権による突然の空爆で再び論議のわき起こるシリア。その真相に迫る――。

「今世紀最悪の人道危機」と呼ばれるシリア情勢。その始まりは2010年の「アラブの春」だった。チュニジア、エジプト、リビア、イエメンで次々に政権が倒れ、その波はシリアにも及んだ。だがアサド政権は倒れない。やがてシリア情勢は「内戦」と呼ばれた。

 過去30年近くもシリアの政治を研究してきた著者は、シリアの惨状が「『アラブの春』の通俗的解釈に基づいて説明」されがちという。政権を「独裁」と決め、「民主化デモ」を「善」とする構図。しかしシリアの「反体制派」は一枚岩とは遠く、「シリア国民連合」のように内戦勃発前から国外に亡命した大物たちが多い組織の面々は、長年トルコや欧州で恵まれた暮らしを享受して、いまや「ホテル革命家」と揶揄(やゆ)される。そのため弱さを糊塗(こと)するためアルカイダ系の組織さえも内部に取り込んで「反アサド」を演出している。そもそもネットやSNSで民衆の内部に自然発生したといわれる「アラブの春」自体、実際の伝達は従来のテレビによるところが多く、暴動の報道も実はヤラセやガセが目立ったというのが現在の検証結果というのだ。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

最新のBOOKS記事

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    豊洲市場の事故現場は“血の海”だった…目撃者は顔面蒼白

  2. 2

    宮沢りえホクロ取って正解? 鑑定歴25年の占い師に聞いた

  3. 3

    鼻を突く生臭さ…豊洲市場の内外で漂い始めた「腐敗臭」

  4. 4

    森友問題のキーマン 体調不良を理由に「出廷拒否」の仰天

  5. 5

    ホクロ除去した宮沢りえ 本当の目的は森田剛との“妊活”か

  6. 6

    豊洲市場開場から1カ月…腐敗臭に続きの床が「穴」だらけ

  7. 7

    カラオケ番組で「素人」得点…武田鉄矢が画面から消えた?

  8. 8

    村上春樹は75年卒…人気作家はなぜ「早大」出身が多いのか

  9. 9

    BTSと東方神起は紅白落選…TWICEだけが残ったワケ

  10. 10

    音痴で恥ずかしい…カラオケ下手が目立たない曲の選び方

もっと見る