「アラブの春」では説明できないシリアの混迷

公開日: 更新日:

「シリアからの叫び」ジャニーン・ディ・ジョヴァンニ著、古屋美登里訳

 紛争取材にとりつかれてしまう記者がいる。著者もその一人。90年代初頭にセルビア紛争取材に入り、以来、「マラリアみたいに」紛争をめぐる「熱病」がとりついたという。冒険心ではない。犠牲にされる女性子ども、年寄りへの涙。平然と女たちを犯す男たちへの怒り。シリアの庶民は砲弾の降る中で暮らし、狙撃手のいる近所で眠り、恐怖と隣り合わせの日常を送る。その現実へのいたたまれない思いが著者を駆り立てる。

 本書には声高な政治批判はない。大地に生きる人々の不安と苦しみを同じ目で共にする、その圧倒的な存在感が行間からあふれだす。(亜紀書房 2300円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    りくりゅう電撃引退も三浦璃来だけ競技継続の「ウルトラC」…ごく身近にも“前例”あり

  2. 2

    りくりゅうペア大逆転金メダルを呼んだ“かかあ天下” 木原龍一はリンク内外で三浦璃来を持ち上げていた

  3. 3

    松重豊がついに引退を示唆し2代目探しに言及…「孤独のグルメ」井之頭五郎を継ぐ有力候補者の実名続々!

  4. 4

    別居から4年…宮沢りえが離婚発表「新たな気持ちで前進」

  5. 5

    “激ヤバ”高市チルドレン門寛子議員が大炎上! 国会前ペンライトデモを「ごっこ遊び」と揶揄・嘲笑

  1. 6

    木下グループにアスリート殺到 「社長自腹4000万円」だけじゃない驚きのサポート体制

  2. 7

    “幼稚さ”露呈した佐々木朗希「報奨金事件」…ド軍日本人スタッフ2名が「7000万円超」もらえず?

  3. 8

    巨人桑田二軍監督の“排除”に「原前監督が動いた説」浮上…事実上のクビは必然だった

  4. 9

    長女Cocomi"突然の結婚宣言"で…木村拓哉と工藤静香の夫婦関係がギクシャクし始めた

  5. 10

    NHKドラマ10「魯山人のかまど」は早くも名作の予感! 藤竜也は御年84歳、枯れてなお色香漂う名演技