• facebook  
  • twitter  
  • Facebook Messenger

「古都再見」葉室麟著

 これまで九州に足場を置いていた著者が、一昨年、京都に仕事場を構えた。本書は、1年4カ月におよぶ京都暮らしについて書かれたエッセー集。

 話題は多岐にわたる。平安神宮の薪能の舞台を眺めながら、亡き山本兼一のことを思い、三条河原町のレトロな喫茶店で「カラマーゾフの兄弟」を読み、ゾシマ長老と法然の死に思いをはせ、地下鉄で見かけた上品な高齢の女性が、いきなりロバート・B・パーカーのハードボイルド小説を読み始めたのに驚かされ、坂本龍馬が潜伏していた酢屋の前を通りかかって、もし龍馬が生きて松平春嶽が明治政府の中枢に席を置いていたらと夢想し、オバマ大統領の広島での演説を聴きながら、アメリカが京都に原爆を落とさなかったのは、モルガン財閥の御曹司と結婚したモルガンお雪が京都に住んでいたからという説を思い出す……。

 京都初心者の初々しく好奇に満ちた視点と手だれの歴史小説家の透徹した目が合わさって絶妙な味を醸し出し、古き都の今と昔へ誘ってくれる。(新潮社 1600円+税)

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

最新のBOOKS記事

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    進学説の真偽は…金足農・吉田輝星めぐるプロ争奪戦の内幕

  2. 2

    森達也氏が危惧 オウム以降の日本社会は「集団化」が加速

  3. 3

    逸材ゴロゴロ 夏の甲子園“契約金1億円”ドラ1候補7人の名前

  4. 4

    翁長氏が後継指名 玉城氏出馬でどうなる沖縄知事選の行方

  5. 5

    キムタクは“御一行”で…被災地を単身訪れた斎藤工との差

  6. 6

    地元は必死に寄付金集め 金足農“想定外”快進撃の舞台側

  7. 7

    元大リーガー・マック鈴木さん 酒豪ゆえに付いたアダ名は

  8. 8

    黄金世代が上位独占も…評論家が女子ツアーの現状憂うワケ

  9. 9

    二軍で“塩漬け”の巨人ゲレーロ 古巣中日勢に漏らした本音

  10. 10

    大激怒から落胆へ…爆問・太田“裏口入学”報道の複雑胸中

もっと見る