政府が求める「働き方改革」 現代をサバイバルするには?

公開日: 更新日:

「同一労働同一賃金の衝撃」山田久著

 安倍政権によるアベノミクスのもとで、いま日本はどうなっているのか。企業内エコノミストとして住友銀行などで長年活躍した著者によれば、労働供給の減少によって就業率は向上しているものの、実質賃金は減少ないし伸び悩み傾向。みな景気改善を実感できず、サイフのヒモを固く結ばせる結果になっているのはこのためだ。

 また90年代以降、非正規労働者が急増し、非正規格差も大きくなった。働く人々も女性がコア労働力化し、シニア労働者が増え、働き手が大きく多様化している。このなかで「同一労働同一賃金」の必要性が唱えられるようになったのだ。

 しかし企業サイドには反対意見が強く、専門家も渋面をつくる向きが少なくない。もともと同一労働同一賃金は「仕事内容」を基準とした賃金体系を築いた欧米主導の発想によるものであり、従業員を「共同体の一員」としてとらえる「人基準」の雇用慣行に守られてきた日本には、なじみにくいところがあるからだ。

 著者は雇用側・被雇用側の双方に役立つ議論を実際的に展開している。(日本経済新聞出版社 1800円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    安青錦の大関昇進めぐり「賛成」「反対」真っ二つ…苦手の横綱・大の里に善戦したと思いきや

  2. 2

    横綱・大の里まさかの千秋楽負傷休場に角界から非難の嵐…八角理事長は「遺憾」、舞の海氏も「私なら出場」

  3. 3

    2026年大学入試はどうなる? 注目は公立の長野大と福井県立大、私立は立教大学環境学部

  4. 4

    東山紀之「芸能界復帰」へカウントダウン着々…近影ショットを布石に、スマイル社社長業務の終了発表か

  5. 5

    「総理に失礼だ!」と小池都知事が大炎上…高市首相“45度お辞儀”に“5度の会釈”で対応したワケ

  1. 6

    大関取り安青錦の出世街道に立ちはだかる「体重のカベ」…幕内の平均体重より-10kg

  2. 7

    日中対立激化招いた高市外交に漂う“食傷ムード”…海外の有力メディアから懸念や皮肉が続々と

  3. 8

    義ノ富士が速攻相撲で横綱・大の里から金星! 学生相撲時代のライバルに送った痛烈メッセージ

  4. 9

    同じマンションで生活を…海老蔵&米倉涼子に復縁の可能性

  5. 10

    独立に成功した「新しい地図」3人を待つ課題…“事務所を出ない”理由を明かした木村拓哉の選択