「読書で離婚を考えた。」円城塔、田辺青蛙著

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 夫の円城は北海道生まれで芥川賞作家。妻の田辺は大阪生まれでホラー作家。夫婦の家の本棚は左右に決然と分かれていて、妻の方は怪談、幻想怪奇作品やルポルタージュ作品が棚を占め、片や夫の方は物理や数学の本、料理や手芸本、漢文や歴史書、洋書が並んでいる。つまり好みがかなり違う。そこで「夫婦の相互理解」を図るべく、相手に本を勧めて読書感想文を交換し合うことに。

 まず妻が吉村昭の「羆嵐」を夫に勧め、それを受けて夫はテリー・ビッスンの「熊が火を発見する」を返す。熊つながりでいい感じかと思いきや、回を追うごとにズレ始めていく。夫は手作りが好きで、妻は手作りに興味を示さない、同じくオカルトに興味があってもその方向は正反対であること……相互理解どころか相手のことをいかに知らなかったかがあらわに。

 著者らの当初の思惑とは違ったようだが、2人の掛け合い漫才的なやりとりは、夫婦喧嘩をのぞき見しているようで思わず笑みが漏れてしまう。

 ぜひとも続編を期待したい。

(幻冬舎 1500円+税)

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