「読書で離婚を考えた。」円城塔、田辺青蛙著

公開日: 更新日:

 夫の円城は北海道生まれで芥川賞作家。妻の田辺は大阪生まれでホラー作家。夫婦の家の本棚は左右に決然と分かれていて、妻の方は怪談、幻想怪奇作品やルポルタージュ作品が棚を占め、片や夫の方は物理や数学の本、料理や手芸本、漢文や歴史書、洋書が並んでいる。つまり好みがかなり違う。そこで「夫婦の相互理解」を図るべく、相手に本を勧めて読書感想文を交換し合うことに。

 まず妻が吉村昭の「羆嵐」を夫に勧め、それを受けて夫はテリー・ビッスンの「熊が火を発見する」を返す。熊つながりでいい感じかと思いきや、回を追うごとにズレ始めていく。夫は手作りが好きで、妻は手作りに興味を示さない、同じくオカルトに興味があってもその方向は正反対であること……相互理解どころか相手のことをいかに知らなかったかがあらわに。

 著者らの当初の思惑とは違ったようだが、2人の掛け合い漫才的なやりとりは、夫婦喧嘩をのぞき見しているようで思わず笑みが漏れてしまう。

 ぜひとも続編を期待したい。

(幻冬舎 1500円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    名球会入り条件「200勝投手」は絶滅危機…巨人・田中将大でもプロ19年で四苦八苦

  2. 2

    永野芽郁に貼られた「悪女」のレッテル…共演者キラー超えて、今後は“共演NG”続出不可避

  3. 3

    落合監督は投手起用に一切ノータッチ。全面的に任せられたオレはやりがいと緊張感があった

  4. 4

    07年日本S、落合監督とオレが完全試合継続中の山井を八回で降板させた本当の理由(上)

  5. 5

    巨人キャベッジが“舐めプ”から一転…阿部監督ブチギレで襟を正した本当の理由

  1. 6

    今思えばあの時から…落合博満さんが“秘密主義”になったワケ

  2. 7

    巨人・田中将大が好投しても勝てないワケ…“天敵”がズバリ指摘「全然悪くない。ただ…」

  3. 8

    高市早苗氏が必死のイメチェン!「裏金議員隠し」と「ほんわかメーク」で打倒進次郎氏にメラメラ

  4. 9

    世界陸上「前髪あり」今田美桜にファンがうなる 「中森明菜の若かりし頃を彷彿」の相似性

  5. 10

    三角関係報道で蘇った坂口健太郎の"超マメ男"ぶり 永野芽郁を虜…高畑充希の誕生日に手渡した大きな花束