「砂上」桜木紫乃著

公開日: 更新日:

 北海道・江別に住む柊令央は、いつか作家になることを夢見て小説を書き続けている40歳の女性。元夫から振り込まれる離婚の慰謝料とビストロ勤務で得るわずかなアルバイト代を支えに、文芸誌の新人賞に何度も応募していたが、手応えが得られないまま、いつしか年月が過ぎていた。

 そんなある日、令央の目の前に今までの新人賞応募作を読んできたと語る女性編集者・小川乙三が現れる。期待を胸に対面した令央だったが、彼女の口から発せられるのは責めるような鋭い言葉。「あなたは何がしたいんですか」という問いかけに発奮し、自分が死ぬまで秘密にしようと思っていたあることを題材にした小説を改めて書くことを決心する。しかしそれは苦難の始まりだった……。

「ホテルローヤル」で第149回直木賞を受賞した著者による最新作。小説家志望の女性を主人公にして、小説という虚構の世界を立ち上げていく過程や編集者と小説家との緊張感あふれる関係性をリアルに描いている。

(KADOKAWA 1500円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    JリーグMVP武藤嘉紀が浦和へ電撃移籍か…神戸退団を後押しする“2つの不満”と大きな野望

  2. 2

    広島ドラ2九里亜蓮 金髪「特攻隊長」を更生させた祖母の愛

  3. 3

    悠仁さまのお立場を危うくしかねない“筑波のプーチン”の存在…14年間も国立大トップに君臨

  4. 4

    田中将大ほぼ“セルフ戦力外”で独立リーグが虎視眈々!素行不良選手を受け入れる懐、NPB復帰の環境も万全

  5. 5

    悠仁さまの筑波大付属高での成績は? 進学塾に寄せられた情報を総合すると…

  1. 6

    FW大迫勇也を代表招集しないのか? 神戸J連覇に貢献も森保監督との間に漂う“微妙な空気”

  2. 7

    結局「光る君へ」の“勝利”で終わった? 新たな大河ファンを獲得した吉高由里子の評価はうなぎ上り

  3. 8

    飯島愛さん謎の孤独死から15年…関係者が明かした体調不良と、“暗躍した男性”の存在

  4. 9

    巨人がもしFA3連敗ならクビが飛ぶのは誰? 赤っ恥かかされた山口オーナーと阿部監督の怒りの矛先

  5. 10

    中日FA福谷浩司に“滑り止め特需”!ヤクルトはソフトB石川にフラれ即乗り換え、巨人とロッテも続くか