「アリと猪木のものがたり」村松友視著
著者は「プロレスの味方」として書いた作品の中に大きな忘れ物をしたという思いがあった。猪木・アリ戦の40年後に特別番組が放映されることを知り、かつて猪木が著者との対談で、自分とアリにしかわからないものがあると言ったことがよみがえった。そこで「世紀の凡戦」といわれた戦いをテレビで観戦した。
番組の中で猪木は、最終ルールに明記されていなかったアリの4オンスのグローブの恐怖について語った。15ラウンド制というレスラーにとって不利な条件で、自分の行為が反則と取られてアリに試合放棄されないように注意しながら猪木はキックを放った――。
40年ぶりに再現された戦いに著者が見たものは?
(河出書房新社 1600円+税)