「藪医 ふらここ堂」朝井まかて著

公開日: 更新日:

 おゆんは、父で小児医の三哲の医院で、患者に待ち札を渡したり、処方した薬の名を覚帳につけたりしている。三哲は人一倍の怠け者で、子供以上に手がかかる。界隈では、医院の前庭にあるふらここ(ブランコ)にちなんで「藪のふらここ堂」などと陰で呼ばれるほどだ。三哲は、患者がどれほど待っていようが、構わず診療部屋で世間話に花を咲かせており、おゆんは患者の視線がつらい。宝暦9(1759)年の正月、おゆんが三哲と取上婆(産婆)のお亀と祝い酒を飲んでいると、大店の手代が往診を頼みにきた。店の跡取り息子が高熱を出したが、かかりつけ医が留守で、三哲の医院にたどり着いたらしい。三哲はいやいや迎えの駕籠に乗るが……。

 ふらここ堂の人々の日常を描く人情時代連作集。

 (講談社 780円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    中学受験で慶応普通部に進んだ石坂浩二も圧倒された「幼稚舎」組の生意気さ 大学時代に石井ふく子の目にとまる

  2. 2

    横浜とのFA交渉で引っ掛かった森祇晶監督の冷淡 落合博満さんは非通知着信で「探り」を入れてきた

  3. 3

    出家否定も 新木優子「幸福の科学」カミングアウトの波紋

  4. 4

    国宝級イケメンの松村北斗は転校した堀越高校から亜細亜大に進学 仕事と学業の両立をしっかり

  5. 5

    放送100年特集ドラマ「火星の女王」(NHK)はNetflixの向こうを貼るとんでもないSFドラマ

  1. 6

    日本人選手で初めてサングラスとリストバンドを着用した、陰のファッションリーダー

  2. 7

    【京都府立鴨沂高校】という沢田研二の出身校の歩き方

  3. 8

    「核兵器保有すべき」放言の高市首相側近は何者なのか? 官房長官は火消しに躍起も辞任は不可避

  4. 9

    複雑なコードとリズムを世に広めた編曲 松任谷正隆の偉業

  5. 10

    中日からFA宣言した交渉の一部始終 2001年オフは「残留」と「移籍」で揺れる毎日を過ごした