「ニッポンの肉食」田中康弘著
日本人が食べる肉(ウシ・ブタ・ニワトリ)の量はこの半世紀で10倍に増えたという。そんな日本人の肉食文化の変遷を解説したリポート。
長らく、日本には肉を食べる文化がなかったといわれていたが、実は石器時代から日本列島では連綿と肉食が繰り広げられていたことが最新の研究で明らかになっている。仏教伝来により肉食を禁忌する考え方が広まったが、肉食が廃れたり、狩猟行為が行われなくなったことはなかったそうだ。そんな古代から現代まで、日本人の肉食の歴史を振り返る。一方で、人の手で繁殖・肥育される畜産肉の他に、シカやクマ、イノシシ、タヌキなどの狩猟肉が人の口に入るまでの過程を紹介しながら、知られざる日本の肉食文化の奥深さを伝える。
(筑摩書房 780円+税)