• facebook  
  • twitter  
  • Facebook Messenger
北上次郎
著者のコラム一覧
北上次郎評論家

1946年、東京都生まれ。明治大学文学部卒。本名は目黒考二。76年、椎名誠を編集長に「本の雑誌」を創刊。ペンネームの北上次郎名で「冒険小説論―近代ヒーロー像100年の変遷」など著作多数。本紙でも「北上次郎のこれが面白極上本だ!」を好評連載中。趣味は競馬。

「ワン・プラス・ワン」ジョジョ・モイーズ著 最所篤子訳

 ノーマンがかわいい! トーマス家で飼われている老犬だが、毛むくじゃらで、いつもよだれを垂らし、おならが異様に臭い大型犬である。一緒に車に乗ったとき、あまりに臭いので「死んじゃう!」とタンジーが叫ぶと、彼女の顔を悲しそうな目で見たりするから、かわいい。このノーマンはラスト近くで大活躍するから、けっして「巨大エサ食いウンコ製造マシーン」(ジェス談)ではないことは、ノーマンの名誉のために書いておきたい。

 本書は、この大型犬ノーマンを連れ、27歳のシングルマザー、ジェスと、その娘タンジー(数学の天才少女10歳)、さらに別居中の夫の前妻の子ニッキー(メーク好き少年16歳)、そして逮捕寸前のIT長者エド、この4人プラス1匹が、はるかスコットランドの数学オリンピック会場をめざして英国縦断の旅に出る話である。

 この作家は「ミー・ビフォア・ユー」という小説でわが国に初紹介され、本書が2作目。前著は尊厳死をテーマにした長編だったが(こちらもたっぷりと読ませる傑作だった)、今回は一転して、笑いあり涙ありの痛快読み物で、読み始めるとやめられなくなる。

 人は過ちを犯す生き物ではあるけれど、人生をやり直すことは出来る。愛するものがいて、信じられる未来があるならば、いつでも立ち直ることが出来る――読み終えると、そういう確信がむくむくと湧いてくる。これはそういう小説だ。

(小学館 1030円+税)

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

最新のBOOKS記事

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    安倍政権また後手後手 西日本豪雨の補正予算が置き去りに

  2. 2

    日大アメフト部新監督 立命大OB内定に選手らは拒否反応

  3. 3

    浮いた話もなし…波留の“私生活”がベールに包まれるナゾ

  4. 4

    太った? 元AKB小嶋陽菜のムッチリ体型にファン容赦なし

  5. 5

    政財界とも結びつき深く…故・浅利慶太さんの「功と罪」

  6. 6

    傲慢でぶれない自民党と公明党 国民のことは考えていない

  7. 7

    ドラマ引っ張りだこ 「高嶺の花」でも話題の峯田和伸って

  8. 8

    鈴木良平氏が異論 「代表監督は日本人に限る」風潮は尚早

  9. 9

    サンドウィッチマン富澤 2007年M-1優勝の瞬間を振り返る

  10. 10

    フジ主演ドラマ好発進も…山崎賢人に足りないアドリブの妙

もっと見る