「それまでの明日」原尞著

公開日: 更新日:

 渡辺探偵事務所の沢崎のもとに、ある金融会社の新宿支店長・望月皓一と名乗る紳士がやってくるところから物語は始まる。

 なんでも融資を頼まれている赤坂の料亭の女将の身辺調査をしてほしいというのだ。社内の勢力争いも絡んでいるので、緊急時以外は電話を控えてほしいという望月の要望もあって、望月からの連絡を待つつもりでいた沢崎だったが、調査対象の女将がすでに亡くなっていた。仕方なく連絡をとろうとするものの肝心の望月がつかまらない。そこで、外出先から社に戻るタイミングで望月をつかまえようと、新宿支店まで出かけていった沢崎は、銀行強盗に巻き込まれ人質になってしまう……。

 私立探偵・沢崎が活躍するハードボイルド長編「そして夜は甦る」でデビューして以来、沢崎シリーズを長年書き継いできたミステリー界の伝説の作家による14年ぶりの新作。ありきたりの依頼だったはずの身辺調査が、調査対象が亡くなっているうえに、依頼人まで姿を消すというストーリー展開で、読者は思わぬところへ連れていかれる。時を経て蘇った探偵・沢崎の世界観がたっぷり楽しめる。

(早川書房 1800円+税)


日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

最新のBOOKS記事

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    深酒にガールズバー…志村けんコロナ感染で濃厚接触者多数

  2. 2

    藤浪ら感染の“合コン” ゾロゾロ出てきた参加者32人の素性

  3. 3

    志村けんさん「笑いの美学」鉄道員で共演の高倉健も惚れた

  4. 4

    藤浪トレード急加速 コロナ感染契機に他球団が再調査開始

  5. 5

    立川志らくをバッサリ…“毒舌の先輩”たけしの批判に説得力

  6. 6

    志村けんさんの店も…銀座のクラブで“コロナ蔓延”の根拠

  7. 7

    東出昌大“緊急生謝罪”の裏に…長澤まさみの「重い一言」

  8. 8

    月25万円の年金生活 2万円で大好きな遺跡や寺社仏閣巡り

  9. 9

    志村けんさん 泥酔記者に愛の一喝「話をちゃんと聞け!」

  10. 10

    ビック3とは一線 志村けんさんが貫いたコメディアン人生

もっと見る