• facebook  
  • twitter  
  • Facebook Messenger

「戦前の怪談」田中貢太郎著

 田中貢太郎は大正から戦前昭和に活躍した作家で、なにより「日本怪談全集」「支那怪談全集」をはじめとする実話怪談の書き手・アンソロジストとして有名。本書は、著者が記した怪談の中から24話を精選したもの。

 冒頭の「虫採り」は、不忍池近くの草むらで、藍色の服に針金が引っかかって困っている少女を貧乏画家が助けてやるところから始まる。その後青白い着物を着た芸妓が画家の前に現れ、いますぐ汽車に乗って遠くへ行くようにいわれる。その通りに夜汽車に乗って東京を離れると、その日関東大震災があり、画家は命拾いをする。東京へ戻り不忍池へ行くと、白蓮の花弁をくわえた藍色の山女がこちらを見ていた。

「蟇の血」は、将来を嘱望された青年が、ある女と出会ったことで怪異の世界に引き込まれる話で、近藤ようこが漫画化したことで知られる。

 まだ自然が豊かに残っていた戦前日本の風景の中でチョウ、蛇、キツネといった異類たちが織りなす恐怖と怪異は、懐かしくも新鮮に感じられる。

(河出書房新社 1800円+税)

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

最新のBOOKS記事

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    進学説の真偽は…金足農・吉田輝星めぐるプロ争奪戦の内幕

  2. 2

    森達也氏が危惧 オウム以降の日本社会は「集団化」が加速

  3. 3

    キムタクは“御一行”で…被災地を単身訪れた斎藤工との差

  4. 4

    元大リーガー・マック鈴木さん 酒豪ゆえに付いたアダ名は

  5. 5

    黄金世代が上位独占も…評論家が女子ツアーの現状憂うワケ

  6. 6

    逸材ゴロゴロ 夏の甲子園“契約金1億円”ドラ1候補7人の名前

  7. 7

    大激怒から落胆へ…爆問・太田“裏口入学”報道の複雑胸中

  8. 8

    翁長氏が後継指名 玉城氏出馬でどうなる沖縄知事選の行方

  9. 9

    二軍で“塩漬け”の巨人ゲレーロ 古巣中日勢に漏らした本音

  10. 10

    徳永有美アナが古巣に復帰 「報ステ」現場は大ブーイング

もっと見る