「さざなみのよる」木皿泉著

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 がんで余命いくばくもない小国ナスミ、43歳。やがて彼女は静かな死を迎えるのだが、彼女の生きた証しは周りの人々の心の中で生きつづける。

 本書はそんなナスミの家族や知人たちが語る14のエピソードで構成される感動の短編集である。 ナスミの家のご近所で理髪店を夫とともに営む利恵。夫に具体的な不満があったわけでもないのに、ある日、家出を決意した利恵が駅のプラットホームに立つとそこにナスミの姿があった。彼女も家出をしようというところで、お互いの姿に思わず噴き出してしまう。そして、「今はね、私がもどれる場所でありたいの。誰かが、私にもどりたいって思ってくれるような、そんな人になりたいの」というナスミの言葉に後押しされて、利恵は家に戻る。(「第9話」)

 亡くなっても無くなるわけじゃない。命は宿り、去って、やがてまたやって来る――。

(河出書房新社 1400円+税)


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