揺れるアメリカ

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「より高き忠誠」ジェームズ・コミー著 藤田美菜子、江戸伸禎訳

 大統領選でのトランプ勝利以来、アメリカ政治に動揺のなかった日はないといわれる。あまりに不安定なトランプのアメリカの今。


 あの大統領選のさなか、クリントン陣営の不用意なメールを捜査し、リベラルから一斉攻撃された著者。しかしトランプ政権発足後は一転、トランプ陣営へのロシアの関与を捜査して大統領と対立。いきなり「おまえはクビだ!」と宣言された。本書はその経緯を含めた本人の半自伝。

 生い立ちから青春時代、連邦検事時代のマフィア捜査やカリスマ主婦マーサ・スチュワートらの事件などの回想が淡々と続く。そして後半まるごとが大統領選からトランプとの対立の話。といっても本書で明らかになった新情報はない。長年、司法機関に勤務した優秀な官僚らしく、公開されている以上の事実は本書には実はない。だが、そのときに彼が何をどう感じたかについては忌憚ない。書名のとおり、大統領よりも「より高い」法への深い忠誠心に官僚としての誇りがにじむ。

(光文社 1900円+税)

「トランプ ロシアゲートの虚実」小川聡、東秀敏著

 読売新聞アメリカ総局長と安全保障問題の専門家がタッグを組んでトランプ政権の迷走ぶりを詳細に報告したのが本書。FBIのJ・コミー元長官を罵倒しているのは周知だが、ほかにもJ・ブレナン前CIA長官を嘘つき呼ばわりし、機密情報へのアクセスを禁じるなど前代未聞の措置を連発している。

 もともとトランプは大統領選直後からロシアに弱みを握られた証拠満載の「トランプ・ファイル」に悩まされてきた。しかし元英国諜報員が作成したこのファイルは実は信ぴょう性に難があり、トランプ陣営と早期の幕引きを図りたい共和党の反撃を許す欠点があった。

 毎日のニュースの裏面を知るのに役立つ一冊。

(文藝春秋 920円+税)

「監視大国アメリカ」 A・G・ファーガソン著 大槻敦子訳

 トランプ以前からアメリカが社会に監視網を張り巡らせてきたことは周知の事実。国家安全保障局(NSA)が「エシュロン」のほか全国民の有線通信まで傍受していることはエドワード・スノーデンの告発で細部まで明らかになった。本書はビッグデータを利用した監視と米憲法が禁じる不当逮捕の問題を専門とする法学者による詳細な監視状況の報告。

 ビッグデータは監視の道具にもなるが、警察の不当な逮捕などを暴く根拠にもなるという。また人種偏見を非難される警察官も、職務では毎日死と暴力、子ども女性虐待を目撃して強いストレスとトラウマに悩まされてもいる。監視社会は人の心を歪ませるのだ。

(原書房 2400円+税)

【連載】本で読み解くNEWSの深層

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