「電力」の曲がり角

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「『石油』の終わり」松尾博文著

 化石燃料はもう終わり、次はEVへシフトだというが、実はこの問題にはシェール革命やフクシマ原発問題、さらにはパリ協定や中国の一帯一路戦略、トランプのアメリカ第一主義までが複雑にからむ。しかも背後には19世紀からの国際政治と中東の深いかかわりが横たわっている。本書は中東やエネルギー問題を専門とする日経新聞論説委員が描く、エネルギー革命の現状とその背景にある歴史の深い闇。

 石油を脅かすシェールガスをつぶすためのサウジの手練手管、地球温暖化を背景とするエネルギー大転換とマネーの動きなど、エネルギー産業の陰と陽をめぐる経済ノンフィクション。おしまいは再生エネルギー事業で世界から後れをとる日本の現状がルポされている。

(日本経済新聞出版社 1800円+税)

「電力と政治(上・下)」上川龍之進著

 近代日本の経済発展の基盤が電力網。その中心に君臨したのが東電。だが、「3・11」の衝撃で東電の立場は一気に変貌したといわれる。それは本当か。前と後では何が変わったのか。本書はこれを徹底検証する政治学者の力作。

 上巻では東電に莫大な利益と経営の安定をもたらした「総括原価方式」の仕組みを解明しつつ、財・官・政・学界と報道機関や立地自治体までにふるった東電の権力を明らかにする。

 下巻は一転、「3・11」による苦境をたどるが、実は最大の衝撃は「原子力ムラ」が完全に温存されていること。巨額の事故処理がのしかかり、核燃料サイクルは事実上破綻。使用済み核燃料の最終処分場も決まらないのに「日本の安全基準は世界一」という無根拠な「安全神話」が跋扈(ばっこ)する。しかも原発は電力自由化政策と矛盾するのだ。庶民の目には触れない種々の政治圧力をよくぞこれほどと克明に描いた大著だ。

(勁草書房 各3500円+税)

「水力発電が日本を救う」ふくしまチャレンジ編 福島水力発電促進会議編

 地震大国ニッポンで脱原発を進めるにはどうすべきか。世界では太陽光発電が期待の星だが、実は温暖多雨の日本は年間日照量が少ない。風力発電も山が多く平野の少ない日本の地形では不利。陸地より有利な洋上風力発電も日本は全国の海で漁業が盛んなため、それとの兼ね合いが難しすぎる。ではどうするか。答えのひとつが「水力発電」。2年前に本書の正編が出てベストセラーになった。

 著者は国交省の元河川局長・竹村公太郎氏。それを読んで奮い立った3・11の原発事故で辛酸をなめた福島の人々が立ち上げた「水力発電」への取り組みの中間報告が本書だ。

 巨大ダムでなく中小の水力発電所を自治体と民間の協力で運営する。こうした関係を国が支援する仕組みの提言を含め、福島ならではのチャレンジ魂の産物。

(東洋経済新報社 1400円+税)


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