「BODY 世にも美しい人体図鑑」スティーブ・パーカー著 A・ベイカー/絵 千葉啓恵訳

公開日: 更新日:

 あなたは、自分の体の中に全部でいくつの骨があるかご存じだろうか。正解は(基本的には)206個。幼児期には300個を超えるそうだが、成長とともに頭の骨などがくっつき、総数は減少するそうだ(基本的にとただし書きがつくのは、遺伝などで12人に1人は、肋骨が1対多かったりなどのばらつきがあるから)。

 誰にとっても「最もかけがえのない持ち物」である体のそんな構造や仕組み、そして働きを、情報と知識を組み合わせて図式化したインフォグラフィックで分かりやすく解説してくれる図鑑。

 骨の記述のほかにも、体重の40%を占める筋肉を総動員したら約20トン(アフリカゾウ3頭分)の重さを持ち上げることができるとか、体内の血管の総延長は約10万キロ=地球2周半分など、さまざまなパーツが数値化された上に、工夫を凝らしたイラストとなって提示される。

 さらに4Kテレビの15倍に匹敵する1億2000万相当の画素数に相当する解像度を誇る目をはじめ、聴覚や嗅覚、味覚の仕組みや、脳とコンピューターとの記憶容量や計算速度の比較、細胞や遺伝子の解説まで。自分の体のことなのに知らないことばかり。

 体内で起きている生物化学的反応=代謝は、非常に狭い範囲の体温の中で細かく調整されているため、体温が正常な範囲を外れると代謝経路が連鎖反応的に乱れてしまう。その結果、体温が28度以下の重度の低体温症になった場合などは衣服を脱いで狭い空間に潜り込もうとするなどの矛盾した行動を起こすという。

 そんな誰かに話したくなるような情報が満載。また、生殖や妊娠、新たな生命の誕生までも分かりやすく書かれているので、子供の性教育のサブテキストにもおすすめ。

(ディスカヴァー・トゥエンティワン 2800円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    自民党は戦々恐々…公明党「連立離脱」なら次の衆院選で93人が落選危機

  2. 2

    「えげつないことも平気で…」“悪の帝国”ドジャースの驚愕すべき強さの秘密

  3. 3

    俺と巨人ガルベスの大乱闘の一部始終…落合博満さんのヘッドロックには気を失いかけた

  4. 4

    ドジャース佐々木朗希の抑え起用に太鼓判も…上原浩治氏と橋本清氏が口を揃える「不安要素」

  5. 5

    今オフ日本史上最多5人がメジャー挑戦!阪神才木は“藤川監督が後押し”、西武Wエースにヤクルト村上、巨人岡本まで

  1. 6

    侍J井端監督 強化試合メンバー発表の裏に「3つの深謀遠慮」…巨人・岡本和真が当選のまさか

  2. 7

    メジャー今オフにも「二刀流ルール」撤廃の可能性…ドジャース&大谷翔平に他球団のやっかみ集中

  3. 8

    “児童ポルノ”で衝撃逮捕!日本サッカー協会・影山技術委員長の素性…「精神的な負担を抱えていた」の声も

  4. 9

    奈良の鹿愛護会が語った現場のリアル…「シカさんをいじめるな!」の裏に横たわっている大問題

  5. 10

    万博協会も大阪府も元請けも「詐欺師」…パビリオン工事費未払い被害者が実名告発