「みどり町の怪人」彩坂美月著
埼玉県の辺境Y市みどり町ではかつて母子殺害事件があり未解決だった。以来、暗がりから正体不明の怪人が現れて女性や子供を惨殺するという「みどり町の怪人」の噂が広まり、ネットで話題になっていた。
そのみどり町に恋人の春孝と引っ越してきた奈緒は散歩中に会った少年から怪人の噂を聞く。その数日後から、奈緒はあらゆる場所で不穏な視線を感じるようになり、ついには路地で誰かに追いかけられる。
奈緒から話を聞いた春孝は、殺人事件の被害者の夫を思って涙した翌日、妻子の元に帰ってしまった。
姑の介護をする早紀子、担任の退職を阻止したい小学生らの心の奥底に秘めた願望、罪の意識が怪人都市伝説に絡む7編の物語。
(光文社 1700円+税)