「怖い女」沖田瑞穂著

公開日: 更新日:

「女神」といえば、ボッティチェリの「ビーナスの誕生」に描かれている美や愛や豊穣を象徴する良き女性像を想像することが多い。

 しかし、女神にはそうした好ましいイメージとは真逆の、生きている者を呪い、生み出したはずの人の命を奪うダークな側面が存在している。本書は、世界中に伝わる神話や現代の都市伝説やホラーなどに現れる女神的存在を掘り起こし、古代から現代まで続く女たちの恐るべき側面に光を当てる。

 たとえば、刃物を持った口裂け女に子どもたちが追いかけられる都市伝説は、実は古事記のイザナミの神話に類似していると著者は指摘する。

 死んでしまった美しい妻・イザナミを求めて黄泉の国に足を踏み入れた夫・イザナギが、醜く変わり果てた妻を見て逃げ出すが、妻に追いかけられ、死の呪いをかけられるからだ。

 こうした女神の負の側面の事例を国内外の伝説や小説、漫画などから幅広く収集。

 女の怖さの源泉を知ることができる。

(原書房 2300円+税)


最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高市政権の物価高対策「自治体が自由に使える=丸投げ」に大ブーイング…ネットでも「おこめ券はいらない!」

  2. 2

    円安地獄で青天井の物価高…もう怪しくなってきた高市経済政策の薄っぺら

  3. 3

    現行保険証の「来年3月まで使用延長」がマイナ混乱に拍車…周知不足の怠慢行政

  4. 4

    ドジャース大谷翔平が目指すは「来季60本15勝」…オフの肉体改造へスタジアム施設をフル活用

  5. 5

    実は失言じゃなかった? 「おじいさんにトドメ」発言のtimelesz篠塚大輝に集まった意外な賛辞

  1. 6

    佐々木朗希がドジャース狙うCY賞左腕スクーバルの「交換要員」になる可能性…1年で見切りつけられそうな裏側

  2. 7

    【武道館】で開催されたザ・タイガース解散コンサートを見に来た加橋かつみ

  3. 8

    “第二のガーシー”高岡蒼佑が次に矛先を向けかねない “宮崎あおいじゃない”女優の顔ぶれ

  4. 9

    二階俊博氏は引退、公明党も連立離脱…日中緊張でも高市政権に“パイプ役”不在の危うさ

  5. 10

    菊池風磨率いるtimeleszにはすでに亀裂か…“容姿イジリ”が早速炎上でファンに弁明