「水害列島」土屋信行著
戦後、激減していた水害が近年、日本各地で再び甚大な被害をもたらし始めている。その背景には水害リスクが高い地域が開発され、人が移り住んでいることがある。
さらに地球温暖化による気候変動が顕著になり、巨大台風の発生や線状降水帯、ゲリラ豪雨などによる大規模水害が危惧される時代になった。
各機関の想定によると、巨大台風などで最大規模の高潮が発生した場合、浸水は東京23区中17区、区域内人口は395万人に達し、被害総額は115兆円にのぼるといわれている。首都圏では直下型地震が起きた際の地震洪水も心配される。
昨年の西日本豪雨の検証や、江戸川区の水害対策への取り組みなどを紹介しながら、そうした大水害への対策を考える防災テキスト。 (文藝春秋 850円+税)