「わたしは哺乳類です」リアム・ドリュー著、梅田智世訳

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 ふだんヒトは、自分が哺乳類の一員であることを忘れているが、実はその営みは哺乳類のスタイルに根差している。本書は、哺乳類の脳の研究などに長年携わってきたサイエンスライターの著者が、最新の知見を紹介しながら哺乳類の進化の謎に迫った意欲作だ。

 たとえば、重要でありながら体外に出ているヒトの精巣。熱に弱い精子を活発に生産するために体外に出たとする「冷却仮説」が有名だが、実は研究者の多くがこの説に懐疑的だという。というのも、ゾウやサイなど精巣が体内にある哺乳類が多数存在し、精巣のタンパク質の遺伝子には高温で働くものと低温で働くものの2種類があることがわかったため、むしろヒトの精巣は外に出た後で低温で機能するように進化したのではないかというのだ。

 では、なぜ精巣は体外に出たのか。性的魅力をアピールする「ディスプレー仮説」、精子の質を高める「トレーニング仮説」、腹圧を高める動きをするようになったためとする「ギャロッピング仮説」などがあるらしい。進化の過程をたどれば、ヒトが哺乳類の歴史に連なるひとつの種に過ぎないことがいや応なく見えてくる。

 (インターシフト 2600円+税)

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