「図書館司書と不死の猫」リン・トラス著、玉木亨訳

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 ケンブリッジの図書館を定年退職したばかりのアレック・チャールズワースが、休暇先のコテージで、奇妙なメールを読み始めたところから物語は始まる。ウィンタートン博士と名乗るメールの送り主についての記憶は定かでなく、少し前に亡くなった妻が仕事を補佐していたらしいことくらいしか思い浮かばない。

 送られてきたメールには、文書ファイルのほか、芝居の台本のようなテキストと、画像ファイルと音声ファイルが添付されていた。アレックは退屈しのぎにそれらの解読を始めたが、そこにあったのは人と話す猫にまつわるおぞましいストーリーだった。

 帰宅後、この話の真偽に疑問を持った彼は、ウィンタートン博士を訪ねたことで、この恐ろしいストーリーが妻の死に関わっているのではないかと思い始める。その彼の好奇心が、彼自身を追い詰めていくとは知らずに……。

 本書は、英米で大ベストセラーになった「パンクなパンダのパンクチュエーション」などの著作を持つイギリス生まれの作家によるホラー小説。猫好きが卒倒するような邪悪な猫が登場する、予想外の方向へ連れていかれる異色作だ。

 (東京創元社 2000円+税)

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