「スワロウテイルの消失点」川瀬七緒著

公開日: 更新日:

 物語は、杉並区下井草で発見された腐乱死体の司法解剖シーンから始まる。解剖医が遺体にメスを入れる現場に立ち会ったのは、法医昆虫学者の赤堀涼子、警視庁の岩楯刑事とその相棒の深水巡査部長、高井戸署署長、鑑識課長ら。

 死因検証の最中に、死体から次々と大量のウジが孵化し続けるという壮絶な状況に、赤堀以外のメンバー全員がぎょっとしているなか、突如、お互いの体に発疹や出血が起きていることに気づき、何らかの感染症なのではないかとパニックが起きる。

 発疹のみならず強烈なかゆみに襲われた立会人たちは、念のため隔離されることになったが、赤堀はその発疹の原因に思い当たることがあった。仮説をもとに対処法を編み出した赤堀は、この発疹の原因から被害者の事件解明の糸口までをたどっていくのだが……。

 死体に湧く虫の状況とその生態系から犯行の状況や死後の経過の様子までを割り出す「法医昆虫学者」の赤堀涼子が活躍する、法医昆虫学捜査官シリーズの最新作。本作でも、赤堀の推理と捜査線上に浮かんだ人物の証言によって、事件の真相にたどり着くまで一気に読ませる。

 (講談社 1500円+税)

【連載】週末に読みたいこの1冊

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高画質は必要ない? 民放各社が撤退検討と報じられた「BS4K」はなぜ失敗したのですか?

  2. 2

    「二股不倫」永野芽郁の“第3の男”か? 坂口健太郎の業界評…さらに「別の男」が出てくる可能性は

  3. 3

    気温50度の灼熱キャンプなのに「寒い」…中村武志さんは「死ぬかもしれん」と言った 

  4. 4

    U18日本代表がパナマ撃破で決勝進出!やっぱり横浜高はスゴかった

  5. 5

    坂口健太郎に永野芽郁との「過去の交際」発覚…“好感度俳優”イメージダウン避けられず

  1. 6

    大手家電量販店の創業家がトップに君臨する功罪…ビック、ノジマに続きヨドバシも下請法違反

  2. 7

    板野友美からますます遠ざかる“野球選手の良妻”イメージ…豪華自宅とセレブ妻ぶり猛烈アピール

  3. 8

    日本ハム・レイエスはどれだけ打っても「メジャー復帰絶望」のワケ

  4. 9

    広陵暴力問題の闇…名門大学の推薦取り消し相次ぎ、中井監督の母校・大商大が「落ち穂拾い」

  5. 10

    自民党総裁選の“本命”小泉進次郎氏に「不出馬説」が流れた背景