「これは経費で落ちません! 経理部の森若さん」青木祐子著

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「これは経費で落ちません」――会社勤めをしている人なら、一度は言われたことがある言葉だろう。いつまでも領収書をためたまま精算日が過ぎてしまったり、悪いことはしていないのに(?)、経理の人間から何か言われるとつい構えたり……。そんな「経理ある、ある」が随所に出てくるのが、テレビドラマ化もされた本書である。

【あらすじ】森若沙名子は、化粧品や入浴剤を扱う天天コーポレーションに入社5年目の27歳。経理一筋で、何事もきちんとしていないと気が済まず、きっちり働いて責任を果たし、働いた分の給料を適正にもらい、自分のために使う。会社にも他人にも、与えたもの以上は求めず、求められた以上のものは与えない。好きな言葉は「イーブン」という、まさに経理畑にうってつけの人物。

 ただ、あまりにきっちりしているので、周囲からはいささか怖がられている。

 ある日、営業部のエース・山田太陽からたこ焼き代、テーマパークのチケット代と書かれた領収書を渡された。おや? とは思ったが、調べると不正なところはない。そこへ今度は同僚の女性から、太陽が取引先の女性のハニートラップにかかって公私混同しているとの情報がもたらされた。うわさに惑わされるような沙名子ではないが、思わぬところで、事の真相が明らかに……。あるいは、美人秘書から送られたメールは間違いだから中身は見ずに即刻消去せよとの指示に従い、消してしまったが、そこから意外な経理上の不正が浮上する。

【読みどころ】普段はあまり気づかないが、企業の損益にも大きく関係する経理の仕事の重要さが伝わってくる。本書で芽生えた沙名子と太陽の淡い関係も気になるところだが、それは後続のシリーズで。<石>

(集英社 550円+税)

【連載】文庫で読む傑作お仕事小説

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